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2015/01/15~

神眼の勇者

神眼の勇者WEB修正版 第8話


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   ◆

 交易所の後は、ある貴族の屋敷に向かった。

 ミリアから
「ご主人様。金の燭台や銀の皿などは、必要とする貴族や聖職者に直接買い取ってもらう事をお勧めさせていただきます」
 ――と、アドバイスされたからだった。

 ここでも、ミリアは俺の代りに交渉力を発揮してくれた。
 金の燭台が金貨百二十枚、銀の皿は二十枚全部で金貨二十五枚で買いとってもらえた。
 神眼によると、芸術的価値もある金の燭台が金貨百枚、精緻かつ美しい模様が描かれている銀の皿は、二十枚で金貨二十枚、だったのに。
 ミリアの交渉力、それから『女性的魅力』によるものだ。
 とても美しい巨乳美人である彼女の魅力に、鼻の下を伸ばした男性貴族や聖職者たちが、相場より高値に買い取ってくれていた。 

 宝石類は、売らず手元に置いておくことにした。
 ミリアから、迷宮都市ラナより、さらに貴族の多い帝都の方が、宝石類は高く売れるとアドバイスを受けたからだ。
 それに宝石類は贈り物などにも向いているとのこと。
 かさばる物でもないし、宝石という財物のまま持っていても良いかもしれない。

 現金にして、金貨百六十枚以上。
 それに、現金化すれば合計で金貨百枚以上になるであろう宝石が十数個。
 一生働かないで済む――とまではいかないが、六人家族が数年暮らしていけるだけの財産を俺は手に入れた。
 いや、双子の赤ちゃんの為に、財産の大部分を使うつもりだけどね。
 元々は、赤ちゃん達の親が持っていた財産なのだし。

 しかし、赤ん坊たちについてどうするか、そろそろ真面目に考えないと。
 妥当な線としては、孤児院に預ける――だが。
 それなりの財産つきなら、孤児院でも優遇されるのではないだろうか?

 馬車も預かってくれる宿屋で、俺は広めの部屋を一室借りた。
 そして部屋の中で三姉妹に、赤子たちを孤児院に預けることを一応、提案してみた。

「そんな…………私達で育てるのは駄目なのですか?」

 巨乳娘ミリアがその豊満な胸で双子の片割れを抱き締めながら、潤んだ瞳で俺を見つめてくる。

「…………私達の手で……育てたい……です……」

 貧乳娘カチュアがその真っ平らな胸で、もう片割れを抱きしめながら、縋る様な目で俺を見あげてきた。

 どうやらこの二人、赤子の世話をしているうちに、母性本能的なモノに目覚めているようだ。

「お願いなの。マリー達に育てさせてほしいのっ。赤ちゃん、捨てたくないのっ!」

 目をウルウルさせて、末妹マリーまで俺に頼んできた。
 幼女の癖に、マリーまで母性本能的なモノに目覚めているようだ。

 …………三人からそんな風に頼まれては、断れないよなぁ。

 結局、俺は赤子二人をしばらくこのまま育てることに了承した。
 まぁ仕方ない。
 ミリアの話では、この世界の孤児院は、捨て子達にとって非常に厳しい環境のところもあるようだし。
 それに俺は――この赤ん坊たちに負い目があるからな。
 俺は…………この二人の両親をこの手で殺している。
 ゾンビとなり、襲ってきたとはいえ。

 ミリアが
「ゾンビ化したら元に戻れないので、この世界の常識に照らし合わせれば、ご主人様の行動はなんら非難されることはありません」
 ――と言ってくれたけど。

 それでも、俺はこの幼い二人に負い目を感じてしまっているのだ。
 


 その日はそのまま、宿屋の一室に皆で止まる事にした。
 男女別――というか、俺と三姉妹(+ 赤子)で分けるべきかなと、一応提案したけど。
 しかし、ミリア達から節約の為、全員一室で泊りませんか、と言われた。
 美しい少女達と一緒の部屋で過ごせることに、俺も不満はない。
 むしろ、大歓迎だ。
 
 赤子たちの夜泣きには辟易したが、これも子育てだと思い、我慢した。
 双子だとステレオで泣くので、よりキツかったけど。

 翌日の朝。
 奇妙な事がおきていた。
 人数分のベッドがあったので、それぞれのベッドで、別れて寝ていたはずだ。
 なのに、なぜかカチュアが俺のベッドに潜りこんでいた。
 俺が目を覚ました時、すぐ横にカチュアがいたのだ。
 しかも、さきに目を覚ました彼女は、じっと俺の寝顔を見ていたようだ。
 俺が目を開けたら、思いっきりカチュアと目が合ってしまった。

「……トイレに行った後……寝ぼけて……ご主人様のベッドに入っちゃった…………ごめんなさい……です」
「いや、別に謝らなくてもいいけど。むしろ、嬉しいぐらいだ」

 実際嬉しかった俺がそう言うと、カチュアの頬が赤く染まった。

 彼女はモジモジしながら、
「……ほんと? じゃ、じゃあ……これからも……寝ぼけることにする……です」
 それは、確信犯的行動なのではないだろうか?



 大浴場付きである宿屋に泊っていた俺は、朝から風呂に入った。
 広い浴室での朝風呂は実に気持ち良い。
 風呂から出た後、宿屋で用意してくれていた朝食を部屋に運んで食べた。
 スープとパン、それにゆで卵がついていた。
 飽食の日本に住んでいた俺としては、質素すぎてちょっと物足りない。
 この世界では、卵は結構、貴重品らしいが。
 これでも結構豪華な朝食のようで、ミリア達は喜んでいた。
 スープの味も、悪くはなかった。
 ミリア達の作ってくれたスープの方はもっと美味しかった――と、素直に感想を述べたら、三姉妹が大変喜んでくれたけど。

 食事を終えたあと、食器を返しに皆で一階に行ったのだが――
「隣の部屋の赤ん坊が五月蠅くてろくに眠れなかったぞ! どうしてくれるっ!」
 宿屋のフロントで、店員に対して大柄な男が怒鳴り声を上げていた。

 普段ならクレーマーかよ、と、呆れるところだ。
 とはいえ他人事なので、それ以上の関心は特に持たなかったと思う。
 しかし、今回はビクッと俺は身体を震わせてしまった。
 なにせ今回は俺に『心当たり』があったから。

「二人でオギャアオギャアと泣き叫びやがって! おかげで寝不足だ!」
「それは…………申し訳ありませんでした」
「謝ってすむかよ! 前払いした宿代、返しやがれ!」
「そ……そんなこと、言われましても……」

 ゴツイ顔と体格の大男に怒鳴られ、宿屋の店員であろう気弱そうな小柄な青年が、しきりに恐縮していた。

「金返せよ! オラっ!」 

 大男が、青年の胸倉をつかむに至って、俺はほおっておけなくなった。
 大男の怒りの原因は、俺達にあるようだしな。
 それに、気弱そうな青年が、他人事のように思えない。
 地球では、俺も社会的立場の弱い、気弱な人間だったからな。

「あ、アンタの隣の部屋を借りたのは俺だ。双子の赤ん坊のせいで、寝不足になったのなら、謝る。申し訳なかった」

 俺はフロントまで近づき、大男に頭を下げた。
 大男から胸倉を掴まれていた店員の青年は、やっと手を放してもらえて、ホッとしている。

「ああぁ! テメェのせいかよ! 宿屋に夜泣きの糞ウルサイ赤子なんかと泊りやがって! この落とし前、どうつけてくれるんだっ!」

 俺を睨みつけ凄まないで欲しい…………怖いので。

「本当に申し訳ない。あ、アンタの宿代は、俺が払うから」

 宿屋の店員には、双子の赤子と一緒に泊ることを了承してもらっていた。
 しかし、双子の夜泣きが酷かったのは確かだ。
 この大男に迷惑をかけたのなら、謝罪し、それなりの誠意を示すべきだろう。
 角部屋に泊ったので、幸い、大きな迷惑をかけたのはこの大男だけのようだし、一部屋分の宿代なら、大金を持っている今の俺は十分に払える。

「宿代だぁ? おい、それで済むと思っているのかぁ餓鬼ぃ」
「…………どういう意味だ?」
「多大な迷惑をかけてくれた俺に慰謝料払えって言ってんだよ」
「い、慰謝料?」
「俺は今日、あの大迷宮に挑むつもりだったんだぜ。ソレが寝不足で体調(コンディション)が最悪になっちまった。慰謝料を払ってもらうのも当然だ」
「…………ちなみにいくら?」

 大男はニヤッと笑い、右手を開いてきた。

「銀貨五枚?」
「あぁっ!? 馬鹿言ってんじゃねェぞ餓鬼が! 金貨で五枚に決まってるだろっ!」

 こっちが下手に出たら、どこまでも調子にのる男だな。
 金貨五枚あれば、上等な部屋が食事つきで一か月は借りられるではないか。
 どうやら、相手が気弱だと見たら、徹底的に脅しつけてくるタイプの男のようだ。
 嫌いだな、こういう人間は。

「なんだその目は! テメェ、ぶっ殺すぞっ!」

 ドンっ!!!

 大男がその巨大な手でフロントの机を叩いた。
 根が小心者である俺は、思わずビクッと身体を震わしてしまう。
 その様子を見て、大男は馬鹿にしきった嫌な笑いを浮かべた。

 くそ…………。

 言いかえしたいけど、コイツ強そうだな。
 これだけの体格だ、俺よりもずっと強いに違いない。

 ……あ。
 
【ガルド (戦士 レベル二十一) 】

 俺の目に大男の情報が視えた。

 戦士 レベル二十一というのが、この世界でどの程度の強さかは分からないけど。
 しかし、バーバリアン・レベル二と盗賊・レベル一の俺より、ずっと強いことは容易に予想できた。
 …………相手は俺より確実に強いんだ。
 ここは、言うとおりに金を払うべきか?

「へ、こいつブルッてやがるぜ。なっさけねぇ」

 足が震えだした俺を指差し、大男(ガルド)が嘲笑した。
 他の客達の中にも、一緒に笑う連中がいた。
 いや、大男や他の奴らはどうでもいい。

 ミリア達、三姉妹の目に、今の俺はどれほど情けなく映っているだろうか?

 それだけが、心配だった。

「へへへ、やっぱ、金だけじゃ済ませられねぇなぁ。おい、チキン野郎。お前、床を這って俺の股倉を通りな」
「な、なんで俺がそこまで……」
「あぁんっ!? この俺に迷惑かけたんだっ! 謝罪としてそれぐらいやれよっ!」
「………………」
「やらねぇなら、テメェの顔、俺の拳でぶん殴ってやるぞオイッ!!!」

 大男はそう脅しながら、俺の顔より大きい巨大な拳を見せつけていた。
 あんな拳で殴られたら、前歯が全損したり、鼻の骨が折れたりと大怪我するだろう。
 下手したら、死にかねない。

「俺はこの拳で人間を殴り殺したこともあるんだ。相手は盗賊だったから御咎めなしだったけどな」

 ひ、人を殴り殺した、だって?

「お前の顎なんざ、軽く殴っただけで、粉々に粉砕出来るぜぇ。一生、柔らかいモノしか食べられないようにされたくなかったら…………オラ、誠意見せて慰謝料を払えや」
「…………」
「それから、芋虫みたいに床を這って、俺の股を通る事も忘れるなよ」

 怖い。
 人を殴り殺したこともあるというこの大男が、とてつもなく怖い。
 怖い……けど。
 もし、俺が一人だけだったら、脅しに屈していたかもしれない。
 でも、今、俺を三姉妹達が見ている。
 俺の事を、素敵だとか、強いとか、言ってくれたり、頼りにしてくれている彼女たちの前で、これ以上、情けない姿を晒せない。
 俺は勇気を振り絞った。
 それまで俯いていた顔を上げる。

「なに睨んでだゴラァっ!!!!!!」

 ドスゥっ!

 大男の顔を見あげていたら、いきなり腹を殴られた。
 殴ってくる動作こそ見えたが、恐怖で強張っていた身体は突然の事に反応できなかった。
 それでもとっさに身体を捻り、急所である鳩尾を殴られることだけは回避出来たけど。
 腹に痛みが走る。

 痛い。
 痛いが――それほどでもない、な。

 この大男、見かけほど強くはない…………のか?

「へ、手加減し過ぎたぜ。オラ、もう一発っ!」

 また、大男は腹を殴ってきた。
 不意打ちではないので、今度は大男の動きがさっきよりもハッキリ見えた。
 ゾンビよりはマシだが――かなり遅い動きだ。
 突然の不意打ちでもなければ、こんな遅い拳は躱せる気がする。 
 後ろに半歩下がって、躱すことに――成功した。

「チッ! 生意気に避けてんじゃねェぞ!」

 激昂した大男が、何度も拳で殴りかかってきた。
 俺はそれを全部躱す。
 大男の動きが俺の目にはハッキリ見えているので、躱すのは用意だった。
 しかし、大男の動きが、ここまでスローモーに見えるなんて。
 ひょっとして……これも神眼の効果か?
 それにこのタイミング――今、手を伸ばせば絶妙な『カウンター』になる気がする。

 ガンっ!!!


 余りに好機だったので、つい、カウンター気味に大男の顎を拳で打ち抜いてしまった。
 そういえば、人間を思いっきり拳で殴った事なんて、これが初めてだ。
 俺に反撃されるとは思っていなかったのか、大男はそのまま尻餅をつく。

「こ、こ、こ、この餓鬼っ! 殺すっ! もう殺すっ!!!」

 怒りで顔を真っ赤にさせ、大男は立ち上がろうとした。
 だが――
 足がふらつき、またも尻餅をついた。

 俺の拳が…………効いている?
 これほどの巨体を持つ相手に。
 俺は思わず、自分の拳を見つめてしまう。

「殺す、殺す殺す殺す殺す……殺す……ぶち殺すっ!!!!」

 木製のカウンターに手をかけながら、大男は何とか立ち上がろうとした。
 ダメージが残っているのか、その足は、さっきの俺よりもよほどひどく震えていた。

 バシィッッ!!

 つい、ローキックを入れてしまった。
 格闘技など習っていなかった俺は、本格的な蹴りなど放てない。
 それでも、思ったよりもイイ音が鳴った。

「がぁぁぁあっ!!!」

 大男は立っていられず、三度、尻餅をついた。
 俺が蹴った方の足(左足)を押さえて、苦痛に呻く大男。
 やりすぎたか?
 大男への怒りが冷めてきた俺は、彼が可哀想な気がしてきた。

「大丈夫か? すまない、やりすぎた」

 大男を立たせてやろうと、謝りながら手を差し伸べる。

 だが、
「ペッ!!!」
 大男に唾を吐きかけられ、俺は慌てながら手を引いた。

 男が唾を吐こうとした動作がハッキリ見えたので、完全に躱す事は出来たけど。

「完全に貴方の負けよガルド。それ以上、醜態を晒さないで」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

2普

ド「前回の後書き(次回予告)では」
ド「心臓打ち(ハートブレイクショット)がどうのこうのとか」
ド「アンタ、言ってたけど、心臓打ちなんてしてないじゃない」

シ「ギクリッ!」
泣のコピー
シ「わ、私は悪くないの!」
シ「ガルドたんとはマルタ君が2回闘う事を忘れていやがった」
シ「お馬鹿な作者が悪いの!」
ド「・・・・・・・・」
シ「さ、さぁて、気を取り直して次回の予告なの!」
シ「『今回登場した女性がガルドたんに襲われ、貞操の危機』だよ!」




シ「んが、んぐ」

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