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2015/01/15~

ぼっち転生記

ぼっち転生記 WEB修正版 第4話


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◆◆◆

 武器屋や道具屋などが立ち並ぶ市場を見つけた。
 ここなら、ユニコーンの角を買い取ってくれるだろう。
 家具、それに奴隷を買う為、俺はさっそく角を売りさばくことにする。

 店と店の間にある路地に入った。

 誰も見ていない事を確認して《姿隠しの衣》を解く。
 姿を隠したままでは、売買が出来ないからな。
 ユニコーンの角を抱えたまま、すぐ近くの道具屋に入った。

「いらっしゃい。お使いかね坊や」

 人の良さそうな四十歳前後の店主がいた。
 どうやら、店にはこの親父一人のようだ。

「これ、買い取ってくれない?」

 俺は店主に話しかけた。
 人嫌いな俺だが、別にコミュニケーション能力が致命的な程に不足しているわけでもない。
 コミュ力が高いとはとてもいえないし、事務的な会話以外は、かなり苦手だけどな。
 精霊たちとは、たわいのない会話を楽しめるが、人とは無理だ。

「おや、買い取りかい? どれど…………なぁっ!?」

 ガタンっ!!

 道具屋の店主が椅子からずり落ちた。
 俺が抱えているユニコーンの角を見たせいだろう。
 しかし、いくら高価な角とはいえ、そこまで驚かなくてもいいと思うのだが。
 ユニコーンの角は俺が予想していたより、ずっと貴重なモノなのだろうか。
 だとしたら、買い取り価格に期待できそうだ。
 店主が小走りで店の入口に向かい、ドアのカギを閉めた。

 なんだ?

 なにか、不穏な空気を感じるぞ。

「ぼ、坊や…………3年前からご禁制とされているユニコーンの角を二本も、ど、どこで手に入れたのかな」

 震えた声で、道具の店主が質問してきた。
 ご禁制?
 ひょっとしてユニコーンの角って、結構ヤバイ品なのか?
 父親はそんなこと言ってなかったが。
 三年前から禁制にされたというなら、二十年近く前に田舎町の地方領主になって、田舎にずっといる父親も知らなかった可能性はあるけど。

 なんにせよ、きな臭い雰囲気になってきた。

 ここは無言でいて、相手の様子を伺おう。
 俺が黙っていると道具の店主がさらに質問を重ねた。

「ひょっとして、国境の向こう側にある『一角獣の森』で密猟してきたのかい?」

 一角獣の森なんて知らない俺だが、曖昧に頷いておいた。

「『一角獣の森』には自然司祭(ドルイド)やレムリア王国の森林騎士団がユニコーンを密猟から保護しているはず……まぁ、監視にも限界があるからなぁ…………しかし、坊やのような子供がユニコーンをよく狩れたね」
「俺、真正魔法を使えるから」
「ああ、魔法か。確かに真正魔法を使えるなら、子供でもユニコーンを狩れるかもしれないな。でも、坊やは、一人だけで狩ってきたのかい? それとも他の大人と――」
「そんな風に詮索してくるならもういいよ。別の店に持っていくから」

 ユニコーンの角を抱えたまま、俺は店の外に出る真似をした。

「あ、ま、待ってくれ。わかった、もう余計な事を聞くのは止める」

 道具の店主が俺を引き留めてきたので、立ち止まる。
 俺はじっくり鑑定したいと言ってきた店主に、ユニコーンの角を渡してやった。

 数分後、道具の店主は
「うん、間違いなく本物だね。坊や、2本で大金貨50枚でどうだい」
 値段を提示してきた。

 ご禁制の品と言っておきながら、買い取りはしてくれるのか。
 今すぐ金に換えたい俺にとっては有難いことだ。
 しかし、この買い取り価格は妥当なのか?
 ユニコーンの角の相場なんて俺は知らないので、提示された大金貨五十枚という買い取りの金額が妥当なのか判断できん。

 大金であることは間違いないけど。

 なにせ、父親の話では、一般の兵士の給金は一年で大金貨三枚らしいのだ。
 ちなみに、俺が両親からもらう月の小遣いは銀貨一枚。
 地球から転生した俺の感覚的に、銀貨1枚は日本円だと約千円ほどの価値だ。
 そして 

 銀貨百枚で金貨一枚。
 金貨十枚で大金貨一枚。

 とされているようなので、大金貨五十枚は、銀貨五万枚に相当する。
 日本円なら、感覚的には五千万円だ。
 十分、大金である。
 しかし、大金貨五十枚が妥当な買い取り価格かは、やはり判断できない。

「大金貨五十枚ね。他の店にも行って、一番、ココの買い取り価格が高かったら、売りにくるよ」

 俺はそういって、ユニコーンの角を返してもらうべく手を差し出した。
 半分は本気、もう半分は駆け引きとして、だ。

「坊や、昔と違って、3年前からユニコーンの角はご禁制となっているんだ。ウチみたいに闇市とのルートがある店ならともかく、他の店ならまず買い取ってくれないよ。それどころか、馬鹿正直な店主が経営している店なら、街の衛兵を呼んで、坊やを密猟主として突き出すかもしれない」

 道具屋の店主はユニコーンの角を腕に抱えたまま、忠告するように言ってきた。

 そして、
「ねぇ悪いことは言わないからさ坊や。ウチで売っていきなよ」
 と、猫なで声を出す。

 確かにこの親父の言う事も一理ある。

 しかし、基本、人間を信用していない俺は、
「その話が本当かどうかわからないし、やっぱし他の店でも鑑定してもらうことにするから」
「嘘なんかついていないって…………なら、大金貨六十枚ならどうだい?」
「………………」

 俺はユニコーンの角の返却を求めて手を差し出したまま、無言でいる。

「え、えい、七十枚なら?」
「…………」
「……七十一、いや七十二枚でどう?」
「………………」
「わかった正直に話すよ。ウチのコネで闇市に卸したらユニコーンの角二本で大金貨八十枚前後にはなる。しかし、禁制の品を扱うんだし、こっちにもリスクがあるんだ。せめて、大金貨五枚の利益は見込めないと危ない橋は渡れない。大金貨七十五枚、これが限界の買取り価格だよ」

 最初より、五割増しの買取り価格になった。
 たしかに、道具屋の店主の雰囲気から、買取り価格を釣り上げるのも、ここらが限界の気はする。
 なんなら、他の店に持って行っても良いが、本当にご禁制の品なら、確かにリスクは増してしまう。
 それに、あの大草原には、他にもユニコーンが多数いた。
 ユニコーンの角は、まだ何本いや、何十本もとれそうだ。
 とりあえず、今回はこの店で買い取ってもらっても良いかな。

「わかった。七十五枚でいいよ」
「お、本当かい。じゃあ、さっそく代金を支払うよ」

 道具屋の店主は一度店の奥に消えた。
 しばらくして、重そうな皮袋を持ってくる。

「大金貨七十五枚、ちょうど皮袋に入っているから」

 確認したら、店主の言うとおりに、ちゃんと大金貨が七十五枚、入っていた。

「そうそう坊や、喉が渇いていないかい? 上質な紅茶を、商談が成立したことを祝って無料で飲ませてあげよう」

 そんな事を言いながら、店主は奥で汲んできた紅茶入りのカップを俺に向けた。

「飲んじゃダメ。眠り薬が入っているから!」

 カップの中から、水の精霊(ウンディーネ)が姿を表し、俺に警告してくれた。

 ……この親父、ユニコーンの角の代金を払うのが惜しくなったようだな。

 あわよくば俺を眠らせて、路上にでも放り捨てる気だろう。
 それとも眠った俺を殺害……いや、流石に、人殺しまではしないか。
 この世界でも、殺人は重罪であり発覚した際のリスクが高いのだ。
 それに禁制の品なら、目を覚ました俺が、代金を支払ってもらえていないと役所に訴えることも出来ないだろうしな。
 訴えたら、俺がその場で捕まりかねない。
 俺は喉が渇いていないといい、紅茶は辞退した。
 店主はしつこく紅茶を勧めてきたが、俺が不機嫌そうに顔で睨んだら、しぶしぶカップを引っ込めた。
 黙っていても別に良かったが、俺は、つい、言ってしまった。

「眠り薬入りの紅茶は、美味しくなさそうだしね」

 ガチャン。
 道具屋の店主はカップを落とした。
 衝撃で高価そうな陶器のカップが割れてしまったが、このぐらい、自業自得だろう。

「な、な、何を言っているのかな坊や? ……ハハハ…………ハハ……」

 目を泳がせている店主に、俺は冷ややかな目を向けていた。



 …………まったく、これだから、人間は嫌いなんだ。



「またユニコーンの角を手に入れられたら、ぜひ、ウチに持ってきてくれよ坊や」

 背後からかけられた店主の言葉に一応頷く。
 そして、ズシリと重たい革袋を懐にしまった俺は道具屋から出た。

「眠り薬を飲まされかけた仕返しに、店に火をつけない? アタイ、協力するよ」

 店先のランタンから火の精霊(サラマンダー)が姿を表し、俺に道具屋への放火を誘ってきた。
 過激なことを言うやつだ。
 火の精霊には、過激な性格の者が多いけど。

「燃やそうよ、ねぇ燃やそうよ。ファイアー、ファイア―」

 俺を放火魔への道に歩ませようとするな。 
 確かに、眠り薬を飲まされかけたことは業腹ではある。
 しかし、今回だけは勘弁してやろう。
 今後の事も考えて、禁制の品でも買い取ってくれる店(アテ)は残しておいた方が俺にとっても都合が良いしな。

 そんなことより、俺は今、大金貨七十五枚という大金を持っている事の方が重要だ。
 さて…………この金で、奴隷を買いにいこう。

 奴隷が売っている店の場所は、道具屋の店主から聞いておいたので、短時間で見つかった。
 城塞都市カレには、奴隷商の店として、二つ有名どころがあるらしい。
 一つはオークション形式で奴隷を売るスミス奴隷商会。
 もう一つは基本の販売価格をあらかじめ決め、奴隷を展示しながら売るベノリア奴隷商会。
 今回俺は、ベノリア奴隷商会に向かった。
 ベノリア奴隷商会の近くにある袋小路になった路地裏まで飛び、その後、地上に降りて《姿隠しの衣》を解く。
 ベノリア奴隷商会は、地方領主である両親の屋敷よりもさらに大きかった。
 この世界には珍しく三階建てだ。
 奴隷商とは、よほど儲かるのだろう。

「お前のような子供の来るところじゃねぇよ。ガキは帰ってママのおっぱいでも飲んでな」

 店に入ってすぐ、用心棒らしきスキンヘッドに隻眼の大男が、俺を追い出そうとした。
 俺は無言で、懐に入れたズッシリと重たい皮袋をとりだしてみせた。
 さらに、その皮袋から大金貨を一枚出した。

「ベノリア奴隷商会にようこそおいでなさいました! お坊ちゃま、どのような奴隷をお探しでっ!」

 俺が大金を持っていることを知った途端、百八十度、態度を変える禿げ頭の大男。
 揉み手までして実にへりくだった態度だ。
 呆れるほど素早い態度のかわりようだった。

 禿げの大男は用心棒ではなく、この店のオーナーだった。
 ガラの悪い商売人だ。
 相手が金を持っていると知った途端、コロッと態度を変えるところなど、商売人としては適性があるのかもしれないが。
 ベノリア奴隷商会では、いくつもの檻にそれぞれ奴隷が入れられていた。
 客が身近で奴隷を吟味できるようにだろう。
 檻には値札が書かれており、一目で売値がわかるようになっていた。

 奴隷には男も女もいた。
 人間だけでなく、亜人といわれているエルフやドワーフ等の妖精や獣人もいた。
 女の方が男より値段は高い傾向にある。
 ただ、それも若い女に限っての話で、中年以上の女奴隷は、男奴隷よりも安くなっていた。
 また、人間より妖精たちは高く、逆に獣人たちは安いみたいだ。

 俺が思っていたより、奴隷たちの待遇は悪くなさそうだった。
 檻にこそ入れられているモノの、ほとんどは血色がよく、栄養が行き届いているように見える。
 商会にとって、奴隷は大切な商品なのでそれなりの扱いを受けているのだろう。
 特に、若く美しい女奴隷の待遇は良さそうだ。
 鉄格子の檻ではなく、半透明のケースで出来た小部屋で展示されていた。
 部屋の中には、安くはなさそうな家具もあり、中の生活は、外の貧民たちよりよほど快適に思える。
 椅子に座って長い足を組んでいる美しい妙齢の女奴隷など、逆に客の値踏みをしていた。
 さほど金を持って無さそうな客には、ろくに愛想も振り向かず、横を向いて無視していた。
 その一方で、金持ちそうな客には、ニコリと微笑み惜しみなく愛嬌を振りまいていた。
 どうせ、よほどの金持ちでなければ自分を買えないと知っていて、態度を変えているのだとは思う。
 それに奴隷の人生は買った『ご主人様』により千差万別――なのだろう。

 買われた後の人生・待遇が良くなるように、出来る限り金を持っていそうな客に買われたいという心理は、俺も分からないでもない。
 相手によって露骨に態度を変える人間を、俺は好きじゃないが。
 裕福そうな上に若く、なかなかにハンサムな客が傍に来た時、女奴隷達の態度は凄かった。
 しなをつくったりしながら、必死に自分をアピールしていた。

 十歳の子供である俺には、どうせ購入資金はないであろうと思われているのか、俺が傍を通っても、女奴隷達の多くは無反応だったけど。

 もっとも、客によって態度を変えていたのは女奴隷だけじゃない。
 男奴隷の方も、程度差はあれ、客によって態度を変えていた。
 ガタイの良い男奴隷は、早く檻から出たいのか、自分達の筋肉を客にアピールしている。
 特に、若い女の客が近くいる時など、暑苦しい程に筋肉アピールしていた。
 上半身を脱ぎ、魅せるポーズをとる男奴隷もいれば、檻の中で腕立てやスクワットを猛烈な勢いでしだす男奴隷もいた。
 男奴隷にも、やはり俺は購入資金がないと思われているのだろう。
 俺が近くを通っても、さほど筋肉アピールはしてこない。

 ゾク…………。

 なにか寒気のようなものが背中に走った。
 背……いや、尻のあたりに視線を感じる。

 俺が後ろを振り向くと、一人の男奴隷が俺に熱い視線を送っていた。
 髭の剃り跡が青々しい、眉毛の太い顎の割れた筋肉男だ。
 俺と目が合うと、超猛烈に筋肉アピールしてきた。
 さらに、俺に向けウィンクまでするホモっぽい男奴隷。
 全身の毛が逆立ち、鳥肌も立った。
 さらにさらに投げキッスまでしてくる筋肉だるまの男奴隷。
 吐き気がした。

 思わず、風精霊の矢をぶちこみかけたが、なんとか自重する。

 一応、値段を確認すると、大金貨五枚だった。

 買える。
 買う気はないが。

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~ Comment ~

久々に

私は貯め読みをするタイプなのですが、久々にぼっち転成記をまとめ読みしようと思ったらなろうからいなくなってて、焦って検索してここに来ました。過去に2周しており、暇だし3周目しようかなーとか思ってたのでまさかの読み返し出来ない現状に戸惑いを隠せません。もしできるのならなろうに上げてた文をそのまま先に上げて、修正分をその都度差し替えるなどして頂きたいです(我儘ですね。分かってます)。更新日時を見る限り、さほど頻繁には修正されていないようなので…(色々忙しいこととは思いますが)

いい作品

だったのでなろうでもブクマしていたのですが突然無くなっていたのでまた読みたくて探していたらここにつきました。
忙しいとは思いますが良ければなろうに投稿していた分だけでも公開して欲しいです。
よろしくお願いします。
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