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2015/01/15~

神眼の勇者

神眼の勇者WEB版 第124話 『神の呪い』


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「う?」

 恐慌したラーを抱いたままキョトンとした顔で闇女神カース・アリスは小首を傾げた。
 転生者であるゼロ歳児ラーが非常な早口でなにかの呪文を唱え始めた。――

「マナよ我が指に集まりて敵を撃て! 《滅魔弾》」

 その小さな指に集めた大量の魔力を、闇女神カース・アリスの顔面に向けて撃ち放った! 

 って、オイィィィィ!?

「く……クハハハ。殺(ヤ)られる前に殺ってやったわっ!」

 勝ち誇るゼロ歳児。
 闇女神カース・アリスの額には――穴が空いていた。まるで弾丸で撃ち抜かれたように。

 え?

 ま、まさか、いまので、本当に闇女神カース・アリスが…………死んだ?

「クハハハハっ! とうとう《神殺し》を成してしまったぞ! それも古代神をっ! さすが我(ワレ)っ!」

 ドヤ顔のゼロ歳児ラー。

「そしてこれからはじまるのだ。《神を滅する者(ゴッドスレイヤー)》としての罪と業(ごう)を背負いし、この偉大なる“闇夜の暗黒魔女(ダークナイトウィッチ)”の伝説……いや、“神話”が、な」

 ゼロ歳児にして中二病患者の疑いがある転生者ラーは、自分の言葉に酔いながら、得意満面だった。
 い、いや、そんなことより。

「お、おい、アリス? だ、大丈夫……か?」

 俺はラーを抱いたまま、硬直していた闇女神のそばに近づき、額を見た。
 不思議なことに、額の開いた穴からは血が流れていない。
 そして穴の奥には――なにもなかった。
 血も肉も骨も脳漿すらなかった。
 まるで虚無のような闇だけがあった。
 俺は、闇女神カース・アリスが人ではないことを再認識した。
 怯えと怖れを感じはしたが――

「大丈夫か! おい、アリス! おい!」

 それより、闇女神のことを心配する気持ちの方が上回った。
 俺にまるで童女、あるいは小動物のように懐いてくれていたアリス。出会ったばかりとはいえ、情のようなモノを抱き始めていたのだ。

「大丈……え!?」

 俺は目をしばたかせた。
 カース・アリスの額に空いていた穴がみるみると塞がったからだ。

「う♪」

 完全に穴が塞がり、そして、闇女神が俺に無邪気な笑顔を見せてくれた。
 俺は安堵するとともに、またしても、この闇女神が人ではないことを改めて認識した。

「ウググ! 流石は古代神! そうたやすくは滅せぬか! ならば――滅ぶまで撃ちつづけてやろうぞ!」

 悔しがりつつラーが、まだ魔力が残っている指を闇女神の顔に向けた。
 お、おい、ラー。

「……………いい加減にしろよ………下等生物が」

 一瞬、だれの声かわからなかった。
 俺の聞き間違いでなければ、さっきの氷のように冷たく、そして相手を見下ろしたかのような声は、闇女神カース・アリスが呟いたものだ。
 それに、ほんのわずかな、それこそ一瞬だが、アリスの顔がとても禍々しく歪んだ……気がした。
 《神眼》をもつ俺の目には見えていた。
 また、片方の目を髪で隠しているアリスの残った方の目が、紅く輝いた――気もした。

「っヒ!?」

 ビクンっ!

 ラーが大きく震え――

「あばばばばばばばばばばばばばばばば(ジョーーーーーーーーー)」

 失禁した。
 盛大に漏らした。
 おむつをしているゼロ歳児なので、漏らされてもそんなに困らないけど。

「おお! 今のは邪神にして呪眼の闇女神カース・アリス様の“神技”である《原初の恐怖》じゃ! 流石は我が主様よっ! とんでもない阿呆(あほう)になっておっても、闇女神として神技をつかいこなせるとはっ!!」

 主である闇女神カース・アリスを称讃する大悪魔の単眼幼女ベア子。
 さりげなく、主をディスってもいる気もするけど。

「頭はアレになって知性はほとんどなくなっておっても、神としての“力”を完全には失ってはおらぬっ。やはり(脳が)腐っても邪神っ! 流石は我が主様よっ」

 ……さりげなくどころか、結構、おおっぴらげにディスりはじめだしたな。

 さらにベア子が
「神技《原初の恐怖》は、対象に凄まじい恐怖、それこそ“絶対的存在”を知ってしまったかの如き恐怖と畏れを与え、戦意を喪失させたり、失神・気絶させる効果を持っているが――呪眼の闇女神カース・アリス様の《呪眼》を見た以上、それだけでは済まされんっ!」
 などと、解説をしはじめた。

「知っているのかベア子?」
「うむ。もちろんじゃぞマコト殿。我が主様がその《呪眼》をつかって神技《原初の恐怖》を発動させれば、それは“神の呪い”となり、人間如きの脆弱な精神では恐怖のあまり、精神崩壊は必須!」
「え?」
「人間如きならば、呪いにかかって数十秒で心が完全に壊れ、糞尿を垂れ流すだけの廃人と化すであろうっ! 必ずっ!」
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!!」

 あまりのことに俺は顔面と全身に汗をかきまくりながら、手を横に慌てて振っていた。
 俺は白目をむいてビクンビクンと震え続けるラーが、シャレにならないことになりかけている事を知って焦りまくる。

「なに慌てることはないぞマコト殿。たしかに、我が主である呪眼の闇女神カース・アリス様の呪いは非常に強力であり、最大の“呪い”ならば、カース・アリス様本人でも止めることはできん。しかし、今のは全力で発動させたわけではあるまい。たかが人間相手じゃからな。カース・アリス様本人ならば、呪いを解けるはずじゃぞ」
「そ、そうか。お、おい、アリス。ラーにかけた呪いを解いてくれ! 今すぐ!」

 俺は必死に頼んだが――

「う?」

 闇女神カース・アリスは、人差し指を唇に当てつつ、小首をかしげてキョトンとしているだけだった。
 あどけない童女のような仕草をしているだけだった。
 まるで状況が理解できていないかのようだった。
 自分が何をしたのかすら、わかっていない――あるいは覚えていないかのようだった。
 俺はこのとき、昔読んだ事のある“2重人格者”の話をなぜか思いだしていた。
 別の人格がしたことは、まるで覚えていなかったりもすることがあるという2重人格者の話を。

「ま、ま、マコト様! ラーちゃんが! ラーちゃんが!」

 ラーの様子が尋常ではなきことにミリアたちも慌てだす。
 ど、どうすればいい?
 今の闇女神カース・アリスにいくら頼んでも無駄そうだ。
 だがこのままではラーが…………ラーの心が………………
 なんとかして、邪神の――闇女神の“呪い”を解いてあげないと。

 そのとき――俺の《神眼》が熱くなった。
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