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2015/01/15~

ぼっち転生記

ぼっち転生記 WEB修正版 第2話


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 俺は後ろを向き、脱兎のごとく走って逃げようか迷った。

 だが、とても逃げ切れる気がしない。
 熊と人間では、“速度”が違うのだ。

 だから俺は、近くの木に登ることを選択した。
 幸い、友達が1人もいない俺は、
1人(ぼっち)でも出来る遊びの木登りなどは、それなりに上達している。
 前世でも、木登りや鉄棒昇りは好きだったしな。

 …………1人(ぼっち)でもできるし。

 熊に追いつかれる前に、なんとか木の上まで登ってこれた。
 このまま、熊が諦めて去ってくれることを俺は願う。
 しかし――よほど空腹なのか、熊には諦めてくれる気配がない。
 それどころか、俺のいる木に登ろうとしている。
 俺は、熊の中には“木登りが得意な種類もいる”ことを思いだし、真っ青になった。

 ヤバい……本当にヤバイ。

 木の枝の上で、頭を抱え込んで震えた。

 こんな時に――“宙を舞う半透明の女性たち”が数人見えてきた。

 俺を見て、指を差しながらクスクス笑っている。
 なにがそんなにオカシイのだ。
 人が、熊に食い殺されそうだというのに。
 人間だけでなく精霊も、糞みたいな連中ばかりなのか?
 死を間近に感じていたこの時の俺は、冷静さを失っていた。

 両親との誓いも忘れ、
「なにがオカシイっ! その羽、むしるぞっ!!!」
 と、(本気でする気はなかったし、出来る気もしないが)八つ当たり気味に叫んでしまった。

 精霊たちの方を見ながらな。

 精霊たちはギョッとした顔になった。
 そして、ヒソヒソとなにかを囁き合う。

シィルぼかし

 精霊たちの一人が、代表するかのように俺に近づいてくる。

 そして、
「ねぇねぇ、君、私達の姿が見えるの? 人間の癖に」
 なんて、小首を傾げながら俺に聞いてきた。

「ああ、見えているよっ!」

 俺は、やけっぱちになって答える。

「へぇ~~。声まで聞こえるなんて。
君、そうは見えないけど、ドルイドとかシャーマンの修行をかなり積んでいるんだね☆ 
若いのに。やるじゃん! なの♪」

 ドルイド?

 シャーマン?

 ああ、両親が言っていた“異端”の魔術師か。

「俺は異端の修行なんか積んだ事はない。
魔導文字(ルーン)を学んで、真正魔術の勉強はしているけどな」

「「「「「ふぇぇぇぇええええっ!!!!!?????」」」」」」

 精霊たちが一斉に驚きの声をあげた。

 なんだ?

「こ、この人間、精霊使いの修業も積まずに私たち、精霊の声が聞こえているんだって!」
「聞こえるどころか、会話が設立しているしっ!」
「す、姿も見えているみたいなのっ!」
「天才っ! 天才だよっ!」
「……天賦の才を持つ者と認めるしかないわ」
「稀に精霊使いとして、生まれつき天稟の才を持つ人間がいるらしいけど」
「上手く”育て”たら、伝説級の大精霊使いになるかもっ!」
「ここで、熊にごちそう様させるのは、惜しい才能なのっ!」

 口々に叫び出す精霊共。

 俺が天才?
 魔術の才能が全くない落ちこぼれの俺が?

 一体、何を言って――う、うわぁ!

 熊が、木に登ってきたっ!!!

 ヤバい、ヤバすぎるっ!!!!

 俺は咄嗟に、木から飛び降りた。
 そのまま走って一目散に逃げだすつもりだったが――下手な着地をしてしまった。
 足首を捻ってしまったのだ。
 歩くことはなんとか出来そうだが、全力疾走はとても無理だ。

 …………終わった。

 俺は熊に生きながら食い殺されるよりも、今すぐ舌を噛み切って自殺すべきか迷った。
 木から降りてきた熊が、俺に近づいてくる。
 警戒しているのか、それとも、俺がもう逃げられない事を悟ったのか、ゆっくりと近づいてきた。
 ゆっくりと、しかし、着実に迫る死と恐怖に、俺は気が触れそうになる。
普

「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」

 耳元で精霊の一人が、五月蠅いぐらいに喋ってきた。
 他の精霊と共に俺を追いかけてきたようだ。
 鼻と鼻がひっつきそうなほど、至近距離にいるからか、その姿がさらにハッキリと見えていた。

「助けてあげようか?」
「は?」

 精霊が何を言ったのか、俺は一瞬、理解できなった。

「だ~か~ら~。
風の下位精霊である私達シルフが、君を熊さんから助けてあげようか、って言ってるの!」
「助ける……俺を?」
「うん」
「……………………本当に、俺を助けてくれるのか?」

「「「「「もちろんっ!」」」」」」

 シルフと名乗った精霊たちが一斉に頷いた。

 こんなひ弱そうな連中に熊がなんとかなるとは、とても思えない。
 それでも、今の俺は藁にもすがる、おもいだった。

「助けてくれっ! 頼むっ!!!」
「うん、いいよ。じゃあとりあえず仮契約ね。チュッ!」

 不意に、精霊の一人が俺の頬にキスしてきた。
 その小さな唇を俺に押し付けてきたのだ。

「「「「「あ、ズルい! 私も!」」」」」


 他の精霊、五人が一斉に俺に襲いかかってきた。
 いや、俺の頬や額などに、キスしてきた。

「これで契約完了なの。唇じゃないから、仮の契約だけど」
「え……あ……」
「じゃあ、
風系初級の精霊魔術である《風精霊の矢(シルフアロー)》を使ってあの熊をブッ飛ばすの。
私達が力を貸してあげるの」

 精霊魔術?

 《風精霊の矢(シルフアロー)》?

 そんなの両親からも教わった事ないが…………。

「早くあの熊を指さして《風精霊の矢(シルフアロー)》って叫ぶの! 
精神と精霊力を集中しながらっ! 
グズグズしていると熊さんに食い殺されちゃうの!」
「あ……ああ、わ、分ったよ」

 目と鼻の先まで近づいてきた熊を俺は指さした。
 そして――

「《風精霊の矢(シルフアロー)》」

 と、俺はヤケクソ気味に叫んだ。
 “精霊力”とやらの集中はよくわからないが、指先に意識を集中させながら、叫んだ。

「「「「「「突撃ーーーーーーーーーーーーーーー」」」」」」」

 六体の精霊たち全員が叫び声をあげながら、熊に猛スピードで体当たりをかますっ!!!

 そのうち二体は熊の両目をそれぞれ貫き、一体は眉間をぶち抜いた。 
 残り三体も、急所と思われる場所を貫く。
 股間をブチ抜いた精霊もいた。

 熊はヨロヨロと後ずさり、ドサッと倒れた。

 恐る恐る近づいてみたら――熊は絶命していた。

 す……凄い……。

 真正魔術でも、生命力の高い野生の熊を一撃で倒すのは、難しいはずだ。
 少なくとも中級以上の魔術師でないと無理だと思う。
 兄妹はおろか、俺の両親でも多分、無理だ。
 以前、父親が、この町に領主として赴任してきた際、
 森から熊などの危険な動物を排除した時のことを自慢げに語ってきたことがある。
 その時の話では、
 父同様、真正魔術の使える母親と二人掛かりで、
 数発の呪文を浴びせ、熊を倒した――と、言っていた。

「「「「「「イエーーーイ♪」」」」」」

 ハイタッチをしている精霊たちの姿が見える。

「ほら君も!」
「…………」
「ノリが悪いの。こういう時は“友達同士”勝利を祝って手を触れ合うの。ホラッ!」
「とも……だち……」
「うん☆」
「お、俺が?」
「もちのロンなの。にこにこ☆ニパァ♪」

シィルニコニコニパァ・擦れ気味


 精霊の一人に促され、俺は片手をあげた。

「「「「「「イエーーーイ♪」」」」」」

 俺の手に、精霊たちがその小さな手を順番に合わせてきた。
 まるで、俺を――仲間あるいは友達――と、認めてくれたかのように。
 …………。
「あれれれのれ? 君、泣いてるの? 弱虫さんだなぁ。男の子が簡単に泣いたら、メ、だぞ☆」
「別に…………泣いてなどはいない。これは、目にゴミが入っただけだ」
 いや、熊に襲われ恐怖のあまり泣いてはいたかも、な。
 もしくは、熊に喰われるという恐怖から解放されて、
安堵のあまり、涙が出てきた可能性は、ある。
 しかし、“それ以外の理由”などない。
 あるわけない……のだ。


         ◆◆◆

 精霊の1人が、代表するように、
「今後ともよろしくなの☆ ずっとよろしくなの☆ ずっとずっとよろしくなの☆」
と、いってきたとき、俺の目に、また、ゴミが入った。


         ◆◆◆

 俺は今、“自分が空を飛んでいる”のが、信じらなかった。
 《飛行》の魔術は、導師級の上位魔術師でもないと使えないはずなのに。
 俺が精霊
 ――風の精霊シルフ――
 たちが言った通りに《風の翼(シルフウィング)》と呟いたら、
 身体が宙に浮いた。
 風の精霊シルフ達が、俺の身体に纏わりつくように抱き着いた結果、
 空を自在に飛ぶことが出来ていた。
 初めて空を飛んだ俺は、感動のあまり、足の痛みも忘れていた。
 
 そしてこの日から、俺の生活は一変した。
 いや、人生そのものが大きく――変わった

 精霊という、信頼できる、生涯の



 ―― トモダチ ――



 を、得ることが……できて。
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